前職では10年にわたり、システム開発と運用保守の業務に携わってきました。最初の3年間は主に開発を担当し、基本設計から実装・テストまで一通りの工程を経験しました。要件に応じた設計力や、現場での実装スピード・品質管理の重要性を学ぶ時期だったと思います。
その後の7年間は、運用保守に軸足を移し、システムの安定稼働を支える役割を担っていました。問い合わせ対応や障害対応、軽微な改修はもちろん、業務改善に向けた小規模な追加開発や、ユーザー部門との折衝も行っていました。
開発から運用保守まで一貫して関わってきたことで、単なる技術的なスキルだけでなく、「業務の流れ」や「継続的な価値提供」といった視点が身についたと感じています。
前職では、開発・運用保守の業務に長く携わっていたのですが、プロジェクトの性質上どうしても稼働が高くなりがちで、徐々に生活リズムのバランスが崩れていくのを感じていました。
仕事はやりがいがありましたが、「この働き方をこの先もずっと続けていけるのか」と将来を見つめ直すタイミングがあり、転職を考えるようになりました。
自分の時間や健康を大切にしながら、スキルを活かせる環境で長く働き続けたい――そんな思いが強くなり、ワークライフバランスを大切にできる会社への転職を決意しました。
結果として、今はオンとオフの切り替えもしやすくなり、以前よりも前向きに仕事に取り組めるようになったと感じています。
現在は、開発工程そのものには関わっていませんが、主にサポートデスクとしてユーザーからの問い合わせ対応を行っています。システムに関する操作方法の案内やトラブルシューティングの対応など、現場の声を直接受け取る立場として日々業務にあたっています。
また、必要に応じて軽微なプログラム修正や不具合の対応なども任されており、運用視点での改善や安定稼働の支援にも関わっています。ユーザーとのやり取りを通じて、業務の理解が深まると同時に、システムをより使いやすくするための視点も磨かれていると感じています。
直接開発する立場ではないからこそ、「現場にとって何が使いやすいか」「どんな支援があると助かるか」といった視点で提案や行動ができる点に、やりがいを感じています。
現在の現場で関わっているクライアントは、仕事上の課題が発生した際も「自分たちの問題」として一緒に考えてくださるスタンスで、非常に印象に残っています。
たとえば、システムの仕様に関して懸念点が見つかったときも、こちら任せにせず、どうすれば現場にとってベストな形になるかを一緒に検討してくださいます。親身に話を聞いてくれるだけでなく、言いにくいことも率直に話せる空気を作ってくださるため、こちらからも提案や相談がしやすく、結果的に業務がスムーズに進んでいます。
「発注側と受注側」という関係ではなく、あくまで“同じプロジェクトを前に進める仲間”として接してくれることで、日々のやり取りにも前向きな姿勢で取り組めるようになりました。
以前、開発ベンダーにいたときは、製造が終わるとすぐに次のプロジェクトへと移るサイクルで動いていたため、自分が関わったシステムがその後どう使われたのか、現場にどんな反応があったのかを知る機会がほとんどありませんでした。振り返りもないまま終わっていく感覚に、少し物足りなさを感じていた部分があります。
現在の現場では、システムの利用者がすぐ近くにいるため、実際の困りごとや運用上の課題をリアルタイムで聞くことができます。「こうしたいんだけどできる?」といった相談があったときに、自分の提案や対応で課題が解決したと実感できる瞬間があり、そのたびに“システムの担い手として役に立てている”というやりがいを感じます。
仕様書通りに開発するだけでなく、使う人の目線に立って支援できることが、上流に関わる今のポジションならではの魅力だと思っています。
直請け案件の魅力は、何よりもまずクライアントと直接やり取りができる点にあると感じています。中間業者を介さない分、単価も高く、仕事内容に対する評価がダイレクトに返ってくるため、やりがいや責任感も強くなります。
また、現在関わっているのは一部上場の大手企業の方々が中心で、非常に優秀なエンジニアやビジネスサイドの方と対等な立場で議論を重ねながら仕事を進めています。そうした環境に身を置けること自体が、自分にとって大きな刺激であり、成長の機会だと実感しています。
高いレベルの中で認められるためには、自分も常に準備をし、考え、行動する必要があります。厳しさもありますが、それ以上に「自分がこのプロジェクトの一員として必要とされている」という実感が得られるのが、直請けならではの魅力だと思います。
上流工程を目指すうえで大切なのは、「自分の持っているスキル」と「顧客が求めているスキル」が一致しているかをしっかりと見極めることだと思います。技術力だけでなく、業務理解や調整力、提案力など、求められるスキルは現場ごとに異なるため、「今の自分がどんな価値を提供できるのか」を冷静に捉えることが重要です。
また、「上流をやりたい」という漠然とした気持ちだけで動くのではなく、自分はどの方向性でスキルを伸ばしたいのかを明確にしておくことも大切です。たとえば、業務知識に強みを持ちたいのか、技術に詳しいブリッジ役になりたいのかによって、学ぶべき内容や目指すポジションも変わってきます。
上流は“ゴール”ではなく“スタート”でもあるので、目標を定めて、自分に合った形でステップアップしていくことを意識すると、より実りのあるキャリアが築けるのではないかと思います。